アメリカでは歯を残すスペシャリストの歯周病専門医が主にインプラント治療を担当しています。歯やインプラントを守る歯茎のマネイジメントのできる唯一の歯医者は、歯周病科です。
日本に10名程度しかいない歯周病とインプラントのスペシャリストです。 アメリカ歯周病学会 歯周病専門医とは、アメリカ歯周病学会が指定する研修施設(主に大学)にて、3年間のプログラムを終了した者のみに与えられる資格です。 私は、フロリダ大学(州立)の歯周病科にレジデントとして2019年から在籍し2022年に卒業いたしました。最新の知識と技術を3年間の厳しいトレーニングの中で習得しまして、皆様に貢献できればと思っております。 このコースの中では、膨大な量の論文を過去から現在に渡り網羅し、自分の臨床技術に落とし込むという作業を日々繰り返します。非常に自由なプログラムで、自分なりの治療計画をプログラムディレクターと相談したうえで、実行していきます。2年目、特に3年目となると、朝から夕方まで毎日、午前、午後とほぼ何かしらの手術が予約で入ってきますので、後輩に分けなければ間に合わないほどの症例数がありました。数百症例のインプラントを含めた外科手術を行ったことになります。全ての症例を覚えてはいませんが、難しい症例もいくつもありその都度、他科と連携し解決していったのを覚えています。特に、補綴科(被せ物を入れる科)がちょうど併設しており、5メートルほど歩くと行ったり来たりできたので常に相談等をしておりました。加えて向かいの部屋には歯内療法科もあり、同じく協力しあって日常の臨床となっていました。 もちろん、日本でも同様な日米の専門医同士のやりとりをできる体制を整えております。
アメリカでは、インプラントの治療を主に歯周病科が担当いたします。何故ならば、インプラントの周りにも歯肉はありその部分のマネジメントが非常に重要になります。歯肉はいわば汚れや細菌に対する防御機構になりますのでその調整が非常に大切になります。インプラントを埋め込む位置やインプラントを囲い込む歯茎の状態など決定するのが我々の最も重要な仕事の一つです。要するに綺麗にしやすいようにするのです。
フロリダ大学に留学する前にもすでに、日本で歯周病の取り扱い方などは習得ずみではあったので、歯周組織再生療法を含む色々な歯周病治療をアメリカでしか使うことのできない材料などを用いて応用することができたため、自分の中での今まで思っていた臨床の答え合わせが高いレベルで達成できたことが、一番の収穫と思っておりますし、それを日常臨床に落とし込み皆様に還元できればという次第です。もちろん、ご希望であれば、少々お時間はいただきますが、アメリカで使った最新のバイオマテリアルを個人輸入し使用することも可能です。
アメリカ歯周病学会は年に1度、世界から歯科医師を集めて学会の大会を行っておりますので、留学を終えた後も最新の情報交換などは継続できるシステムとなっております。また、英語も学んだことで、ヨーロッパの学会、アジアの学会など幅広く学ぶこと、コミュニケーションが取れることも留学のメリットであったと思います。広い視野で常に世界を見ていけるよう研鑽していく次第です。